はじめての屋久島(夏の思い出)
はじめての屋久島(4)
屋久島滞在5日目、最終日。
楽しい時間は本当にあっという間です。
レストランからの眺め、今日は山側です。
眼下に見えているカートをレンタルすれば、広大な敷地内を散策できるそう。なんと、敷地内に滝があるそうなのですが、蚊の襲撃に負けて(笑)散策できずでした。
さて、15時半のフライトまで、まだ少し時間があります。チェックアウトして向かったのは「千尋(せんぴろ)の滝」。昔、大人一人が両手を広げた長さを一尋としたことから、とても大きな滝であることからこう名付けられたそうです。写真では伝わりづらいけれど、岩盤の合間に流れ落ちる滝は壮観。
展望台からは海もよく見渡せます。なんて気持ちいの良い眺め。
帰ろうとしたら、ちゃんと景観台があったことに気づきます。滝に近づいた。
景観台に向かう道すがら、登山道の入り口が見えてきました。
続いて向かったのは「トローキの滝」。轟(とどろき)の音から来ているそうで、太平洋に直接降り注ぐ、日本では珍しい滝なのだそうです。これ、カーナビで近くまで行けても入口がわからずうろうろしましたが、ネットで口コミを調べてようやく。道路沿いにある「ぽんたん館」に車を停めて、道路を渡れば遊歩道が見えてきますよ。
規模は小さいけど、確かに轟いてました!
景観台の対向側には太平洋が見渡せます。
ぽんたん館でお土産を買って、屋久島最後のランチへ。カレーが食べたくて、こちらのお店へ。お母さんが一人で営む、とっても素敵なお店でした。
野菜カレー、こんなにボリュームたっぷりで小鉢などもついて890円!
レンタカーを返却し、空港に到着したのはフライトの1時間以上も前のこと。さすがにローカル空港で何もすることがない・・とはいえ交通手段もないし、どこか行くほどの時間もないので、空港のベンチでその時間を待ちました。
行きたいところにはだいたい行けましたが、灯台やその先に広がる浅瀬の海にも行きたかった。ウミガメの産卵にも立ち会ってみたいです。夜空の星ももっと眺めたかった、流れ星がたくさん見えるそうです。新緑の季節もまた、素晴らしいという話なので、ぜひまた訪れたいと思います。人生はじめての屋久島旅、おしまい。
はじめての屋久島(3)
屋久島滞在4日目。
今日はJRホテル屋久島をチェックアウトして、いわさきホテルへ向かいます。期せずして、JRホテルのお部屋からいわさきホテルの立地を確認できたのですが、山の上に一軒だけのそびえ立つのがいわさきホテル。景色が楽しみでなりません。
口コミで、山側がよいとの評判だったので、予約時に備考欄に山側希望と添えてみました。どうなるかな?
山の上にひときわ際立って見える白い建物、これがいわさきホテルです。
11時にチェックアウトし、向かったのは屋久島自然館。沖縄とも奄美とも違う、この島の成り立ちを少しでも学ぼうと思います。
エントランスには、屋久杉を切り出して運ぶトロッコの姿がお出迎え。
まず目に付いたのが、こちらの新聞記事。そう、昨日ガイドさんから聞いていた、「縄文杉」の名前の由来となった記事です。この見出しがきっかけで、「大岩杉」が「屋久杉」と呼ばれるに至りました。そして、この縄文杉を発見した本人は、自分の祖父からその存在を聞いていたそうです。ただ、祖父自身も語り継がれていただけで、自身はその存在を見たことはなかったそう。孫である彼が、自分亡きあとにこの杉を発見したことを、天国からどんな気持ちで見守ったことでしょうか。
写真では伝わりませんが、この記事は5mはあろうかという大きな看板です。
自然館には屋久島の歴史や島の人々の暮らしが、映像や展示でわかりやすく解説されています。特に、当時の様子を伝える映像資料(NHKだったかな?)では、トロッコに乗って週末に街に繰り出す集落の人々、当時、子供時代を過ごした人々のインタビューなどが映し出されています。また、泊如竹(とまりじょちく)という江戸時代に活躍した儒学者が、当時島津家につかえ、屋久杉の一般利用を始めたと言われているのですが、苦しい島の生活を支えた重要人物の半生も学ぶことができます。
屋久島は花崗岩が隆起してできた島でお米ができない土地。江戸時代は米の代わりに、杉を年貢として納めたそうです(写真)。これを助言したのも、如竹さんです。
屋久杉は、豊臣秀吉が京都に建立した仏殿(大阪城の築城ともいわれる)の資材として注目を集めて以来、島の財政難を救うために木材としての利用が始まりました。薩摩藩の支配、森林の国有化により伐採の最盛期を迎え、海外の安い輸入木材に押され国有林事業が縮小。1970年頃には伐採禁止となり、自然を保護する現在の流れとなります。2016年、林野庁が森の中に眠る倒木、土埋木(どまいぼく)の搬出・木材の生産終了を宣言。一つの時代が幕を閉じました。
屋久島が世界遺産に登録された理由の一つに、人々が共存しながらも、大半の自然が手付かずで残っていることが挙げられています。時代に翻弄されながらも、島とともに暮らす人々の、森への畏敬の念に思い至るのでした。
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余談ですが、知り合いにたまたま島津さんという人がいます。彼は薩摩藩・島津家の遠縁という話を聞いてびっくり!私は母方が沖縄出身で、琉球もまた、屋久島とともに薩摩藩の侵攻を受けているためでした。だからってどうなる話ではないのですが、こういった歴史背景がまた、旅の味わいを深めてくれるのでした。(20代の頃、2年ほどかけて、沖縄で自分のルーツをたどる旅をしたのですが、その時の話もいつか書いてみようと思います)
はてさて、ノスタルジーに浸ってはいても、腹は減るわけで、事前調査していたお店の一つ、近くにある「カフェスマイリー」にてランチタイム。安房川のほとりにある、手作りのぬくもり漂う素敵なカフェです。
ランチの後は、30分ほどの山道をひたすら登ってヤクスギランドへ。当初、自然館の裏手のトレッキング道を歩こうかと考えていましたが、こっちにして大正解!標高1000-1300mほどの場所に位置するこの森は、舗装されたトレッキングルートがあり、30分、50分、80分、150分と時間と体力に合わせたコースが用意されています。
縄文杉への登山・トレッキングは結構命がけ(大げさ)だったので、周りの景色や苔に注目する余裕がほとんどなかったのです。家族連れや体力に自信のない人は、こちらでも十分、屋久島の豊かな自然を味わうことができます。
私たちは50分コースを進みました。そうそう、16時半には入場口が閉まってしまうので、気をつけてください。
縄文杉へのトレッキングに負けずとも劣らず、素晴らしい自然を満喫できます。
倒木から新たに芽ぶく苔たち。小さな命が見えますか?
トレッキングルートは自然のあるがままに。倒木の隙間をぬってとおります。
くぐりすぎ、という名前がついてます。くぐる杉はほかにもありました。
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自然をひとしきり満喫し、いざホテルへ。噂通り、山の眺めが美しいホテルです。
吹き抜けの高いロビーからは、山が一望できます。
廊下からのビューはこんな感じ。
外観はこちら。大きすぎて、写真に収まりません。
そして、お部屋は希望どおり山側へ。景観はこちら。
壮大な自然の姿、写真ではなかなか伝わらないかもですね。
夕食は海側で夕陽を眺めながらいただきます。
楽しい時間はあっと言う間。明日が旅の最終日です。
はじめての屋久島(2)
屋久島滞在3日目。
縄文杉に会いに行こう!ということで、前日に登山用品をレンタル。意外と簡単にできました。リュックだけは持参していたので、登山靴、レインウェア、靴下、ストックを借りましたが、2人で4500円。思っていたより安かった。
別名「雨の島」とも呼ばれる屋久島は、水温の高い黒潮の影響で雨が多い島。そのことが豊かな自然を育むのですが、登山となればレインウェアは必須です。思い立ったら登山できる、これも屋久島の魅力かもしれません。
我々はこちらでレンタルをしました。
縄文杉へのトレッキングは自分たちだけでも行くことはできましたが、ガイドさんにお願いしてよかったと個人的には思います。自然や植物、歴史の話などを聞くことで学びが深まったのと、なかなかのハードな山歩き、ペース配分がとっても大事だからです。
今回お願いしたのはこちらのお店。
日帰りで一人13000円、合計26000円でした。
当日は朝の4時15分にホテルに迎えにきてもらいました。この時間、ホテルもさすがに朝食は提供していないので、既に宿泊プランに含まれている場合は、事前予約すればお弁当を手配してくれます。お昼のお弁当も一緒に頼みました。ツアーに含まれている場合は問題ないのですが、屋久島はコンビニがないので、食事には注意が必要です。
登山口までマイカー規制が行われているため、片道30分ほどバスに乗ります。ここが結構登山客で渋滞していて、列に並ぶのに混雑します。チケットを買い、自分たちのポジションを確保したら、ここで朝食のお弁当をいただきました。
道のりの2/3は、トロッコ道を歩きます。枕木が高いところは木の上を、低くなってきたら自分の歩幅で歩きました。ここが結構やっかいで、ふくらはぎが数日は筋肉痛になりました。
薄暗いうちからスタート。いよいよです。
一時間ほど歩いたでしょうか。小・中学校跡地に到着。縄文杉が材木として盛んに切り出されていた時代は、山中に集落があり、学校もあったのだそうです。当時の人々の生活が写真から伺えます。
途中から、平坦な木が敷かれたトロッコ道に。ずいぶんと歩きやすくなりました。
次第に苔むす木々が現れて、気持ちが高ぶります。
仁王杉と名付けられた、大きな屋久杉が見えてきます。
ウィルソン株に到着。
中から空を見上げるとハート型が表れます。この写真、どうしても撮りたかったんですよね。そして、この写真は角度が重要で、ある一定の場所からしか撮れません。切り株の中に入って、右手奥の方ですよ。
ハーバード大学の植物学者・ウィルソン博士が日本を旅行中に、この切り株を発見したことから名付けられたこちらの木。豊臣秀吉の命によって、大阪城だか京都の仏閣築城のため、初めて切り出されたのがこちらの木だったそうです。
いつもここは大渋滞。私たちが入った時にはたまたま誰もおらず、一瞬の静寂を味わったのでした。
ルートを進んでいくと、次に見えてきたのが大王杉。こちらも立派です。縄文杉が発見されるまでは、大王杉がトレッキングのゴールだったのだそうです。さすが大王。
こちらはよく見ると、マグロの横顔に見えませんか?
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この途中は道のりが厳しく写真がありませんが、トロッコ道ではない、いわゆる山道を歩きます。上り下りも激しく、足元がすべりやすいので、注意が必要です。
そしてついに。
縄文杉に会うことができました。まずは右手方向からの眺め。
そして左側からも。陽の光が差すことも珍しいとのことで、いろいろなラッキーに恵まれたのでした。とっても疲れましたが、頑張ってきたかいがあった。
高さ25.3m、周囲16.4m。縄文杉は樹齢2000とも4000年とも言われています。発見した当時は「大岩杉」と呼んだそうですが、のちに南日本新聞の一面に「生き続ける縄文の春」と紹介されたことがきっかけとなり、縄文杉、と呼ばれるようになったそう。
こちらが当時の新聞記事。昭和42年のことです。
近くでお弁当をいただき、エネルギー補給。さ、暗くならないうちに、帰りましょう。
登山バスの時刻もあるので、体力を温存しつつ復路へ。ガイドさんが川を見せたいと、ルートからちょこっと外れて、川辺に案内してくれました。ここで感じる風があまりに気持ちよくて、少しうたた寝。エネルギー回復します。
東京の多摩川から放流されたというヤマメが今でも生き残っているそうで、この川でも一匹見つけることができました。
ようやくトロッコ道に帰ってきた。と向こうから列車がくるではないですか!?びっくりしていると、ガイドさんが今でもけが人救助などの目的で、電池式?の電車が稼働しているのだそうです。滅多にお目にかかれないとのことで、とてもラッキーです。
と、電車の通過を待っていると、食中苔が岩肌にたくさん。「モウセンゴケ」だったかな?こちらも珍しい苔だそうで、ダブルでラッキー。
こうして最後の橋を渡り、登山口へ到着したのは17時前。往復22km、所要時間11時間の旅が終わりました。
縄文杉は樹齢行ってよかった。
本当にそう思える素敵な場所でした。
明日はヤクスギランドです。
はじめての屋久島(1)
この夏、人生ではじめて、屋久島を訪れました。
南の島が好きで、沖縄や奄美大島には何度か足を運んだことがあるものの、何となく機会がなかった屋久島。
私の周りでも「いつか行きたい場所(=まだ行けてない場所)」という人が多かったので、今回の旅の足取りを振り返ってみます。
<旅の概要>
・現在の在住地:東京
・旅した人:友人と2人
・旅行日数:4泊5日
・旅のテーマ:のんびりする
<1日目>
私の住んでいる東京から屋久島までは、飛行機のみのルート、飛行機と鹿児島からの高速船をつなぐルートなどがいくつかあります。今回は時間優先。いち早く島に到着しようと思い、羽田→屋久島(鹿児島経由)で飛行機を利用しました。JALの「おともdeマイル」割引を使い、私は陸で貯めたマイレージでチケットを手配、友人は割引でチケットを購入。全行程往復で5万円ほどでした。朝10時頃に羽田を出て、屋久島空港でレンタカーし、ホテルにチェックインしたのが4時前くらいだったでしょうか。
旅の前半はJRホテル屋久島へ。島の断崖に立ち、大海原を望めるその立地に一瞬にして惹かれました。泊まってよかったと思える、素晴らしいホテルでした。
この日はホテルの周りを散策し、早めの夕食をいただいてのんびり過ごしました。
<2日目>
屋久島きたよーという投稿をfacebookですると、早速屋久島フリークのみなさんからありがたいアドバイス。早速、まずはオススメの海に出てみることにしました。屋久島は花崗岩が隆起してできた岩盤の島なので、砂浜が少ないんですよね。そんななかでも、ウミガメが産卵する有名な浜辺、永田いなか浜へ行きました。
波が荒いのか、海岸沿いの砂が高く盛り上がっているのが見えますか?
海辺にくると必ずしたくなるのが、カニ遊び。
追いかけると逃げるんだけど、最後は観念する彼らの表情が何とも愛くるしいんですよね。カニと追いかけっこしていると、浜辺で一日過ごしていても飽きないです。
もう帰ろうと友人。いやいや、もうちょっと浜辺を散策しようと歩みを進めると、地元の人らしきおじさんが、「ウミガメの赤ちゃんがいるよ」と教えてくれました。え!?そんな簡単に会えるの??と急いで向かうと、なんとそこには、本当にウミガメの赤ちゃんが!
いちもくさんに海を目指して、よいしょ、よいしょと前に進む赤ちゃん。海に向かうってことがわかるんだ、しかも、あっちが海ってわかるんだ・・と思ったら、本当に心が震えました。命って奇跡。
さすがは産卵の地。あちこちに産卵の痕跡が残されています。こうした地元の人たちの配慮にも心が温まります。
ギャラリーみんなで船出を見送りました。
なお、聞くところによると、ウミガメが大人に成長する期間は30−35年。その確率は1/5000とも言われるそうです。ぜひ、大きくなって、屋久島の海に次の子孫を残しにきてほしいですね。
はてさて、みんなでウミガメを見送ったあとは、大川の滝へ。駐車場から程なくして見える距離にあり、アクセスが楽チンです。
滝壺の近くまでいけるのですが、岩肌が結構アクロバティックで、のんびり旅の私たちは少し遠目に眺めることに。
カニもいましたよ、サワガニですかね。
日も暮れてきたので、ホテルに戻ろうとドライブしていると、なにやら目の前に動くものが。見えますか?右奥の方。
見えますか?
そう、鹿です!この時に限らず、結構な頻度で出くわして、そのたびにビックリしましたが、調べてみると、鹿と猿が多く生息する島のようです。ほっこりする。
そんなわけで、2日目の屋久島滞在は終わりました。
せっかくきたならということで、いよいよ明日は屋久杉に会いに行きます。