仕事と旅と時々ゴルフ

日々、感じたことをつづる日記です

一人部署の悩み「自分の限界が組織の限界」

ここ数日、生死の境をさまよっており(嘘)、ブログを書く元気がありませんでした。ですが、周りの理解と温かい支えのおかげでなんとか復活の兆し・・。健康の大切さをしみじみ感じました。

 

私は今の会社(ベンチャーというか中小企業というか)で、一人広報をしています。スタートアップも含めたベンチャー企業では、一人広報によく出会います。よくあると言ってしまえばそれまでですが、やってみると気楽だけどいろいろ大変。今日は、一人部署ならではの悩みについて書いてみようと思います。

 

f:id:fb980844:20171011211752j:image

この週末、香川と徳島へ合宿に行ってきました。都会の喧騒を離れ、ホテルに詰めてブランド研究の仲間とディスカッション。ベネッセや香川県の方に直島を案内いただき、「よく生きる」ということについて学んできました。

 

ーーー

一人部署は文字どおり、自分一人しか担当がいない状況を指します。企業のなりたちとして、まず必要というか存在しているのは、経営者、開発・営業、管理部門ですよね。スタートアップの場合、広告宣伝費をかけられないケースが多いので、企業の成長を後押しする上で広報はとってもいい機能なのですが(声を大にしていいたい!w)、なかなかそれを理解されるケースは少ないのが現実です。*個人的には、営業が地上戦なら広報は空中戦。上空から支援できると思っています。

そのため、私の周りでは、ある程度の規模になってきてから広報を採用するとか、営業やマーケ担当者が兼務するケースが多いようです。一人部署は気楽ではありますが、悩みといえばこちら。

 

一度にさばける仕事量が業務量のボトルネック

多い時には月に10本以上のプレスリリースをひいひい言いながら書いていました。クライアントなり協業先と連携して、メディアにアプローチしてということを繰り返すわけですが、これ、個人の処理能力がまさに、組織のボトルネックになるんですよね。まして、協業先やクライアントが大企業であることがほとんどなので、こちら側の思い通りになるケースは少なく、難しい調整を迫られることとなります。

広報業務もいくつかありますが、自社の場合、リリース発信、取材対応、イベント運営、その他(企画ものやマーケ的な仕事)などの4分類くらいに分けられます。そのうちの一つ、リリース配信の流れはざっとこんな感じです。

 

<リリース発信の流れ>
・リリースできる案件を洗い出す(自社単独なのか連名なのか確認)
・案件の確認(いつ、どんな背景で、どんなサービスを、誰が、誰に向けて、どのように開始し、どんな狙いや目的があって、今後の展開はどうなるか、など)
・リリースを書く(画像やロゴも集める)
・営業担当者にドラフトを確認する
・連名社へ確認(クライアント確認)
・知っている記者に連絡、説明に出向く
・コーポレートサイトに掲載する
・リリース配信サービスで配信する
facebookで告知する(会社のと自分個人のと)
・掲載を確認
・掲載を社内に報告&対外的にも報告(サイトとfacebook
・記者にお礼

 

この流れの中で一番頭を使うのが、そのネタをどうやって社会の文脈につなげるか、という点(案件を確認して書くあたり)。当社の場合、開発する案件がバス業界だったかと思えば、金融の領域だったり、はたまた小売や流通、鉄道、行政などと幅広いため、競合の動向や他社との違いをキャッチアップするのがなかなかに難しいです。業界によって媒体や担当記者もわかれるので、媒体をカバー仕切れないのも課題です。

ほかの工程も、作業としては地味にきいてきます。そのため、作業として切り分けられる部分だけでも事務担当者に頼めないかと相談したことがあるのですが、仕事を振れる人がいないという理由で却下され、やむなく一人で担っています(涙)。

他社広報さんは、これらに加え、採用広報やIRなどを担われているケースも。業界がある程度専業であれば問題ないかもしれませんが、一人は何かと大変ですよね。

もしあの時、私が交通事故で入院するとか、インフルエンザにかかって・・とか想像すると、たくさんのリリースが日の目を見なかったか、大幅なスケジュール変更を余儀なくされたことと思います。健康に産んでくれた両親に感謝です。

 

休暇といっても完全には休めない

仕事を振れる人がいない(少ない)ので、自分が対応しなければならないことが多く、休みの日でもPCとケータイを持ち歩くことが多くなりました。特に長期休暇で旅に出る時も、PCを持って出かけます(これはこれで、PC管理が不安なのですが…)。

なるべく、リリースなどの見えている予定がないところで休むようにしたり、休みを避けてリリース準備や取材対応をしたりしますが、問い合わせに休みはありません。何かあれば、社内チャットツールで連絡をもらったりして、折り返し対応をしています。

初めはそれが心休まらなかったのですが、最近ではケータイ・PCがないことが逆に不安になるという始末。良くも悪くも、仕事とプライベートの垣根がなくなってきていることを感じます。

 

自分の能力の限界が部門としての限界

最近、これをしみじみ感じます。経験してみて初めてわかる感覚です。

今の会社に入社したとき、社外の先輩からそういう話を聞いていたので、自分の領域を広げることに注力しました。とにかく人に会いに行き、学びの場に顔を出し、わけもわからず走り回っていたかなと。

というのも、メディアや社外広報担当者とのつながりの広さや深さというものが、広報としてのアウトプットを大きく左右すると思うからです。ここがまだまだ課題で、優秀な他社広報さんを見ては、自分はまだまだだと猛省する日々・・。

また、企画力もとても大事。リリースにはならない小さなネタでも社会の文脈にうまくつなげるとか、他社と連携して世の中の動きとして記者に提案する、などを行うことがアウトプットにつながってきます。

チームとして広報がうまくいっている会社を見ていると、自社のことをよく知っている中心人物がいて、他社でメディアリレーションをうまく築いてきた広報経験者や、メディアへの企画提案力に優れたPR会社出身者の人を採用するなど、各人が強みを発揮しながら、チームへも知見を還元するという良い循環が生まれています。そうすると、4人のチームが4人以上のアウトプットを生み出し、部門としての力が高まるのだと思います。

一人だと学べる人が社内になく、外に学びに行くしかありません。上長も広報のことをきちんと理解しているとは限らず、何なら広報って何なの?というのが社内の一般的な見解であることが多い。一人部署の担当者は孤独を感じることが多いんですよね。そのため、広報の価値や意義を社内に理解してもらうアプローチが必要なのですが、一人だと心折れるケースも多いようです。うんうん、わかるなあ。

 

f:id:fb980844:20171012001308j:image

フェリーからみる瀬戸内海の風景。穏やかな海と爽やかな風を感じ、命の洗濯をしました。

 

ーーー

以上、一人部署の悩みをつらつらと書いてみました。周りの広報仲間と話していると、一人部署をずっと続けるのは大変なので、続いてもせいぜい数年。その後、経験を積んで転職をするか、ほかにも人を雇ってチームとして成長するかのどちらかという意見が聞かれます。ここを頑張り抜けるかどうかも、個々人の努力によってくるのかもしれませんね。